診察メモのすすめ 〜納得した医療を選択するために

ここ最近しばらくブログを休んでいることが続いていましたが、実は3週間の間に2回ほど日本に一時帰国していました。術後(→記事)2ヶ月経過後の診察のためと色の勉強のためです。

その時、いつもの診察メモを書きながら、「こういうメモって、もしかしたら、みなさまの役に立つのでは?」と思ってしまいましたので、本日は診察メモについて私の考えを書いてみようと思います。

 

ご存知のように、私は14年以上も癌を患っていました。
31歳の癌の宣告当初は、初期だったこと、自覚症状はほとんどなかったこと、歳が歳だっただけに(若すぎて)癌という現実にあまり向き合えなかったことから、落ち込む一方で案外ケロリとしたものでした。医師から言われたことも、なんとなく自分のこととして受け止められないような、信じられない信じたくない、そんな気分でした。
だから、ずーーんと落ち込むこともあれば、心のどこかでは簡単に考えていて、治療したらあっという間に癌なんて治ってしまうのだと思っていたのかもしれません。

 

癌にはいろいろなタイプがあることは周知のことと思いますが、私の場合は、薬は効きやすいが再発しやすく、ただし、転移はしにくいというタイプのものでした。目に見えて癌が塊になって発生するのではなく、顕微鏡で確認しなければ良性なのか悪性なのか診断できないもので、癌の塊だけを切除するといった手術ができるタイプではありません。根治のためには臓器まるごと摘出するのが一般的な治療方法でした。

私は年齢もまだ若かったこともあって、全摘することはせず、薬で治療する温存療法を選択しました。

治療を開始し1クール2クール。癌は消えました。
が、数ヶ月後に検査すると、もう再発している。。。
そんなことを14年繰り返すこととなりました。

治療が始まると、その治療効果を確認するためには、全身麻酔下での検査(を含む治療)が必要となります。30年以上病気らしい病気なんてしたことがなかった私。全身麻酔と聞くだけで緊張します。手術前の処置なんて、泣けてくるほど辛い!それがわかっているから、なおさら怖い!

こんな経験、絶対忘れることなんてない。いつ手術を受けたか、どんな話がされたか、ましてやどんな結果だったかなんて、忘れるわけないでしょ!?!?

ところが、どんな辛い経験も喉元過ぎれば、なんとやら。結構忘れるものです。忘れるというと語弊があるかな。回数を重ねるごとに、記憶がごちゃまぜになって行くのです。
あんなに忘れるはずない!と意気込んでいた私ですが、治療が何クールか終わったところで早くもどの時の治療のことだったのか記憶があやふやになってきて、メモを取ることにしました。

私は若気の至りで治療はすぐに終わると思っていたので、治療当初は記憶頼りでメモをとっていませんでした。が、あの段階でメモをすることを思いついてよかったです。まさかこんな、14年以上にも及ぶ長期戦になるとは思いもよりませんでしたので。

ということで、ケガや一次的な病気以外では、記憶のあるうちに診察メモを整理しておくことを強く強くお勧めします。。。

 

 

ちなみに、私の診察メモはこちら。

普通のA5サイズのノートを使用しています。
ここに2冊しかないのは、2011年以前のものは日本の自宅に置いて来ているからで、一応治療の最初からメモは残っているはずです。

 

中はこんな感じ。

基本的に、診察1日分に1ページを使用しています。全部のページを使い切らなくても、次の診察日には新しいページから書き始めます。また診察以外でも、CTやMR、PETなどの検査の時にも1ページを割いています。造影剤の副作用の有無や、次に同じ検査を受ける時に注意したいことなどを書いたりもしています。

ページの一番上には赤字で日付とその日の診察や検査などのメインの内容をタイトルとして記入しています。
例えば、細胞診とか、MR結果や組織診結果、など。
このタイトル部分は、後から見返したときに治療の流れをザッと把握するのにとても便利なので、出来れば書いておくことをお勧めします。

タイトル以下は、自由に必要なメモを書きます。
自分が後から思い出せるように書くのがコツです。
検査の結果がこうだったとか、こういう状態だから次はこんな検査をする予定だとか、この数値が心配だから次回以降確認するように、とか。それ以外にも、医師とどんな話をしたとか、ここの部分がよくわからなかったから次に質問する内容、など。

 

 

このようにメモを取ると何が良かったか、と言いますと。

まず、自分がちゃんと病状を把握するのに役立ちます。
そもそもメモを取るためには、ちゃんと医師の話を聞かなければ書けません。そのためには病気の知識はある程度必要になるわけですが、すると医師とのコミュニケーションもスムーズです。

そして、診察室でのやり取りもスムーズになります。
私は超有名大学病院に通院しておりました。患者さんの数も桁違いです。ということは、医師の受け持ちの患者さんもものすごい数に上ることは容易に想像できます。私は大勢の患者さんの中のひとりなわけです。診察室では当然カルテを見ながら医師と話をしますが、カルテには医師との以前のやりとりが一言一句もれなく書いてあるわけではありません。待合室には大勢の患者さんが待っている中で短い診察時間の間に命についての話をするわけですから、こちらから医師に質問する必要も出て来ます。
というのも、メインの治療以外で行った検査の結果などは、どんな優秀な医師でもうっかり言い忘れることもあるので、自分でも把握しておく必要はあるでしょう。また治療以外でも、書類や手続きのことなど、医師がしなければならない事務作業は案外多く、そういうことは私の方から問い合わせしたりしました。自分で把握するのは何も病状だけではありません。

また、医師との信頼関係を築くのにも役立ちました。
私は今の主治医に出会う前、別の大学病院に通院しておりまして、セカンドオピニオンで今の主治医の病院を訪れました。もちろん紹介状はその当時の主治医が書いてくれているのですが、自分達でも今までの経緯を時系列で一覧表にして提出しました。それを見た現在の主治医は私たちの用意した一覧表の方が見やすいと感心してくれまして、おかげで有意義なセカンドオピニオンを頂けると結果となり、ついては転院するまでに至りました。

 

こんなたかがメモですが、されどメモです。

当然私は素人で医学的な知識はありませんし、ネットや本屋さんの啓蒙書にある内容を理解するだけで精一杯。最新の論文を常に目にしている主治医とは比べるまでもありません。が、こちらが理解しようとしている姿勢を示せば、最新の情報もわかりやすく説明してくれますし、治療方針についても私の意見を尊重してくれます。(もちろん患者の意志を尊重してくれるのは当然のはずですが、もっと深く話し合える、という意味です。)

 

というのも、私の実母もライアンの実父も治療の長引きそうな病にかかってしまい、現在治療中であるのですが、聞くと、どうやら医師とのコミュニケーションがスムーズではなさそうなのです。ですが本人はそのように感じておらず、そこが私もライアンも心配しているところなのですが、なんと言ったらいいのか・・・、どこか他人事のように見える、と言いますか。。。

世代でひとくくりにしてしまうのは乱暴だとわかっていますが、あえて言わせてもらうと、団塊世代の私たちの親世代は医師に遠慮してしまって、話が一方通行になっているように感じます。医師の言うことを受け取るのみで、こちらから疑問に思うことはあまりなさそう。世代ではないのかな?人によるのかな?
私もライアンもシンガポールにいて、いつも病院に付き添えるわけではないから、他の家族に任せるしかないのだけれど、それはわかっているのだけれど。。。

前回の話はこうだったはずだけど、それについては医師はなんて言っていたの?と聞いても、何も言われなかったけど、と。
え?質問はしなかったの?と聞いても、忘れてた(考えもしなかった)らしい。

そんな感じです。
これは私の実家だけではなく、ライアンの実家でも同じこと。
私やライアンの家族の名誉のために言いますが、私たちの家族の意識が特段低く、病気に対して投げやりになっているわけでは決してありません。にもかかわらず、医師に遠慮しているためか、無意識的に自分で把握するのが怖いのか、任せているから大丈夫と思いたいのか、そのいずれかの理由で医師との関係が一方通行になってしまっていると感じています。
みんながみんな私の意見と同じではないことも理解していますし、病気のことを知るのが怖いと思うその気持ちも理解できないわけではないのだけれど。

でもね、私は、声を大にして言いたい!
病気は医師が治すものではなく、自分で治すものです!!!
それなのに、医師に遠慮してどうするんですか?自分の命の話ですよ?!

つまり、医師は治療してくれるだけ。本当の意味で治すのは自分です。残念ながら、治療を代わりに引き受けてくれる人はいないのです。そして、他の患者さんを押しのけてでも私を診てというのは論外ですが、やっと回ってきた自分の限られた診察時間に医師に遠慮してどうするの?って思ってしまうのは、私やライアンだけでしょうか??

セカンドオピニオン先で、私はある医師にひどいことを言われて泣かされたこともあります。そういった相性の悪い医師ももちろんいます。もし選択肢が他にあるのなら、そして相性が悪いなと思ったら、医師を変える・病院を変えるくらいの気持ちでいてもいいのでは?とも思います。
なぜなら、自分の命に関わることだから。遠慮している時間なんてありません。

 

だからって、診察メモを取ったからって、病気が劇的に良くなるわけではありません。私なんて、別の癌まで患うことになってしまいましたから。
ただ!
このような診察メモを取ることによって、結果、自分の治療に納得できます。自分の治療に対して自信が持てます。そうして私は、自分の意思を持って治療を選択できるようになりました。
この自信は、病を受け入れ、これから治療をしていく力になって行く、と私は信じています。

 

・・・あー!!!今日こそは、こんなネタだからこそ今日こそは、サラリと終わらせようと思っていたのに!
気付けば、4000字を超えてしまいました。。。

そもそも病気なんてならない方がいいに決まっているのだけれど。
それでもなってしまったら、どうか参考にして下さい。

 

最後に、病院からもらう数々の書類は、明らかにいらないものはとっとと処分して、

こんな風にファイルにまとめています。これがあると、メモと合わせて時系列で検査結果などがさかのぼれて便利です。こちらも1ポケットに1回分。同じ内容であれば、まとめて入れています。
合わせて参考にして下さいませ。

 

うん、そうだよね。ブツ撮りしていると、雫も気になるよね?
てことで、はい、フレームイン!

 

今日もお付き合い頂きありがとうございます。

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